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2023.01.17

INTERVIEW

深海魚の聖地・静岡県沼津市戸田で深海魚ビジネスに奮闘する青山沙織さんの挑戦

深海魚の聖地・静岡県沼津市戸田で深海魚ビジネスに奮闘する青山沙織さんの挑戦

水深2,500mと日本一深い駿河湾に面する静岡県沼津市戸田は、“深海魚の聖地”として知られる地域。今までにない新しいサービス「深海魚直送便」を立ち上げ地域活性化に取り組んでいるのが、青山沙織さんです。

今回は、第1回CEOオーディションに参加した経緯と今後の目標についてお話を伺いました。

青山 沙織 氏

兵庫県尼崎市出身。宝塚造形芸術大学ファッションデザインコース卒業後、神戸市役所・司法書士事務所・航空機メーカーに勤務。2018年4月に沼津市戸田地区に移住し沼津市地域おこし協力隊に就任。日本で唯一の深海魚担当の地域おこし協力隊として「駿河湾の深海魚アートデザインコンテスト」「深海魚フェスティバル」「オオグソクムシ便」などを企画・主催。そのほかにも、深海魚の革を使用した、特産品の開発にも携わり、製品販売に向けて、サンプル作成中。深海魚グッズも販売しています。

2020年4月より、新型コロナウィルス感染拡大の影響で収入が減った漁師の増収を図るため、未利用魚も流通している魚も両方買い取った「深海魚直送便」をスタート。2021年3月、地域おこし協力隊卒業後、現在は、「しずおかの海PR大使」としても活動している。

地域でしか消費されていなかった深海魚を全国に届けたい

ーーまずは、青山さんが深海魚直送便サービスをはじめたきっかけを教えてください。

深海魚直送便をスタートしたのは、魚が売れずに困っている漁師の力になりたいと思ったことからです。2018年に地元の兵庫県尼崎市から沼津市戸田に移り住み、深海魚による町おこしに取り組んでいます。

2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で漁業関係者は大きな打撃を受け、魚の価値が大幅に下落。このままでは、これまでの活動が水の泡になってしまう。

そこで深海魚を買い取り新たな販路を開拓し漁師の助けにならないかと考えたのが、深海魚直送便でした。

ーー収入が減った戸田漁港の危機を救おうと深海魚直送便事業を立ち上げたんですね。

赤ムツや太刀魚などの深海魚は普通に出回っていますが、ものによっては傷みやすいものもあり市場に出回りません。傷がついたり認知度の低い魚は値段がつかず、廃棄されるか、地元の漁師が天ぷらや刺身などにして食べるため、あまり知られていない深海魚も多いのです。

地域でしか消費されていなかった深海魚を全国に届けられないか?と考えました。当初は漁師の方からは「本当に売れるのか」という意見もありましたが、私は絶対に売れる自信があったんです。何度も頭を下げて漁師の方々から協力を得ることができ、深海魚直送便の事業を立ち上げました。

新鮮な深海魚が翌日自宅に届く「深海魚直送便」

▲水揚げされたその日に梱包・発送することで、市場に買いに行くよりも早く深海魚を一般家庭に届けられるようになった。

ーー深海魚直送便では主にどういった種類の深海魚を販売していますか?

現在、深海魚直送便では「深海魚直送便(食べて楽しむ)」と「ヘンテコ深海魚便(食べられません)」の2種類を販売しています。食べて楽しむものは、鮮やかな赤い体色が美しい「ユメカサゴ」や、塩焼き・刺身にすると絶品な「ハシキンメ」など。

ボタンエビや太刀魚といった、私たちが普段何気なく食べている魚も実が深海魚なんですよ。

ヘンテコ深海魚便は、ヒトデやオオグソクムシといった食用に向かない深海魚を詰め合わせたセットです。変わった深海魚は海に帰されています。水揚げされた深海魚は死んでしまうため、未利用魚の価値を高めたいと思い販売をはじめました。

直送便のほか、豚のソーセージにムツや目光、深海エビを混ぜ合わせた「あおやまさおりのしんかいソーセージ」や深海鮫の皮を使った名刺入れなど、商品開発も行っています。現在はレトルトの海老カレーの試作段階で、来年には商品化したいですね。

仲間を増やして海外展開を目指す

今は、発送から顧客対応まで全てひとりで行っています。水揚げされたその日に梱包・発送することで翌日に商品が届くというのが、深海魚直送便の売りです。配送サービスの集荷受付時間は17時。漁船が港に戻る16時過ぎに深海魚の仕分けや箱詰め・発送作業を行うので、1日に発送できるのは多くても15個程度。

正直、今の業務で手一杯でイベント企画や商品開発まで手が回らないのが現状です。事業規模を大きくしていくことを考えると、自分ひとりの力に限界を感じていました。

ーーそして、CEOオーディションにエントリーされたんですね。

「CEOオーディションにエントリーしたのは、仲間を探すため。商品撮影やSNSアップ、商品企画など得意な部分を役割分担しながら、仲間とともに事業を成長させていけたらと思っています。食用としては食べられないけど標本としては価値の高い珍しい深海魚もたくさんあるので、いずれは海外ビジネスも展開したいと思っています」

ーーそれでは最後に、今後の展望を教えてください。

「事業拡大はもちろん、漁船を買って船のオーナーになれればビジネスの範囲も広がると思っています。遊漁船の許可を取って観光客や地域の子どもを対象にした漁業体験も実施していきたいです。 深海魚漁は1ヶ月に10日ほどしか船が出ないため、出荷できる数が限られてしまう。出荷の機会を増やすという意味でも、漁のオーナーになってビジネスの幅を広げていけたら素敵だなと思います」

CEOオーディション Challenge Stageの詳細はこちら

「CEOオーディション Challenge Stage」を終えた感想

最終審査となる「CEOオーディション Challenge Stage」へ進み、多くの審査員から支援を表明されていた青山さん。最後に、「CEOオーディション Challenge Stage」を終えた感想を聞いてみました。

実は「CEOオーディション Challenge Stage」は直前まで行こうか迷っていたんですが、行動しないと何もはじまらない!と思い参加させていただきました。オーディション後の懇親会でほかの参加者や経営者の方々とお話する機会があり、人とのつながりが増えたことが一番嬉しかったです。

ーーCEOオーディション、お疲れ様でした!第1回CEOオーディションはここで終わりですが、 青山さんのこれからのご活躍を応援しております。

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